デジタルリテラシー講座の100%の受講率実現でデジタル化の知識とマインドを底上げ

クライアントさまご紹介


住友生命保険相互会社

菊地 秀世さん
代理店事業部担当部長 兼 代理店事業管理部担当部長

松井 啓義さん
代理店事業部 代理店業務スキル開発室 室長

澤田 朗子さん
代理店事業部 代理店業務スキル開発室 副長

スマートフォンやタブレット、パソコンなど、私たちの社会にデジタルツールが浸透する中、保険業界にもデジタル化の波が押し寄せています。ウェアラブルデバイスを活用した健康増進型保険の進化や、スマートフォンからの契約申し込み、給付金の請求も可能になり、オンライン面談など顧客との接点も多様化しています。そこで欠かせないものになっているのがDXの推進です。顧客に寄り添ったサービスを提供していくためには、生命保険に携わるスタッフのデジタルリテラシーの向上が必須です。

住友生命保険相互会社の代理店部門は、生命保険の販売を行う金融機関、保険ショップなどの代理店の販売推進活動を担っています。同部門で研修・教育を担当する代理店業務スキル開発室は、デジタルリテラシー講座に着目。eラーニング形式での実施を企画しました。1か月の期間で展開したデジタルリテラシー講座は、同部門全体で100%の受講率を達成。この結果を受け、導入を進めた3名は「DX化に向けた意識改革、行動改革が見えてきました」と振り返ります。導入に向けた背景とコンテンツの評価、受講者に見られた反応、さらに今後のデジタルリテラシー向上に向けたアクションを語っていただきましょう。

>「住友生命保険相互会社」公式サイトはこちら

(取材2023年2月)

待ったなしで進むデジタル化の波に乗るため、研修を実施


デジタルリテラシー講座の導入を進めるにあたっての背景をお聞かせください。

菊地:住友生命保険相互会社は2022年に「サステナビリティ経営方針」を制定し、「一人ひとりのよりよく生きる=ウェルビーイングに貢献する」方向を定めました。これは、私たちが創業以来大切にしてきた「人に根差した価値」、社会に貢献していく姿勢を表したものです。デジタルと、人に根差した価値、つまりウェルビーイングを融合させ、お客さまに寄り添った商品、サービスを提供していきたい。こうした方針が根幹にあるのです。

そして、住友生命は2018年から健康増進型保険「Vitality」を販売しています。これは、健康増進活動への継続的な取り組みをサポートする「Vitality健康プログラム」を生命保険に組み込んだ商品です。プログラムにはタブレットやウェアラブル端末を通じて提供するものもあります。保険を通してお客さま一人ひとりにウェルビーイングを提供するためにも、デジタルや新たなデバイス対応への目配りは欠かせないものになってきているのです。こうした背景もあり、「デジタルに関する基礎知識の底上げ」「DX意識の醸成」のため、DX研修を検討しました。そこで前提になったのが、代理店部門の職員が「全員参加」することです。

DXを進める限られた人材だけではなく、全メンバーの受講を目指したのはなぜでしょうか?

松井:デジタルへの意識、リテラシーは、システムに携わっているスタッフ、つまりDX人材だけが身につければいいというものではありません。お客さまとの接点もソーシャルネットワークが選択肢に入るようになりました。さらに、社内の業務でもオンライン会議が当たり前になり、ペーパーレスも進行しています。「RPA」「CRM」といった、デジタル化に関するキーワードも理解を深めておくべきでしょう。「新聞で目にしているし、何となく分かっている」レベルではなく、しっかりと理解を深めて、業務に生かしてほしいと考えています。

そして、デジタル化はペーパーレスやシステム化といった個々の施策にとどまるものではありません。商品の開発から販売、リモート化によるワークスタイルの変化まで、業務上のあらゆる局面で変革が進みます。限られたメンバーではなく、部門全体が一丸となり、「全員参加」でDXに取り組んでいくことが重要と考えています。

DX研修を実施するにあたり、研修講座の選定はどのように進められましたか?

菊地:DX研修について情報収集を進めると、専門性の高さを追求する講座が多く目に留まりました。ただ、私たちは部門に在籍するすべての職員に向けた「日常業務でのDXリテラシー」に関する研修、教材を求めていたのです。そこで有力候補になったのが、「デジタルリテラシー講座」です。当社はプラットフォームの構築でNTTデータと深い関係があり、DXの導入、浸透についても折に触れて相談し、情報を共有してきた経緯があります。DX研修について相談したところ、NTTデータユニバーシティを紹介していただきました。

澤田:今回のDX研修では受講対象者を部門に在籍する全職員としましたので、年代も職種もさまざまであり、座学研修のように、多くのメンバーが揃い、まとまった時間を確保して研修を受けるのは困難です。同講座はクラウド型のeラーニングシステムで、また受講ステップが細かく設定されていましたので営業などの外出先での受講が可能だと感じました。

また、初学者は一つひとつステップを刻んで学び、一定以上のリテラシーがあれば、カリキュラムをまとめて受講することもできるでしょう。受講へのハードルが低く、取り組みやすいという点で、同講座には好印象を持ちました。

 

学びやすいeラーニングシステムで職員の100%が受講した


2022年10月にデジタルリテラシー講座の研修が実施されました。受講者は代理店部門に当時在籍していた全職員、353名です。100%の受講を達成するため、どのように進められたのでしょうか。

松井:講座は個々のスキル、デジタル技術にフォーカスするわけではなく、デジタル化のためのマインド、リテラシーを身につけるためのものです。受講の効果がすぐさま目に見えるものではないため、「デジタルに関する基礎知識を全員が学び、共通言語にしてほしい」というメッセージを丁寧に発信していくことが大切です。あくまでファーストステップとして、地道な啓発を心がけました。

澤田:DXを推進することの重要性は誰もが理解するところですが、日々の業務に追われて学習的な要素は後回しになってしまいがちです。受講期間は1か月でしたが、週ごとに受講状況を共有していきました。順調に受講者が増えていったので、その状況を可視化することで職員の意識も高まっていったようです。また、会議やほかの研修においても本研修のねらいを説明し、私たちのゴールを共有してもらえたのも大きいと感じています。

講座はクラウド型eラーニングシステムでPC、スマートフォンのどちらからでも受講できます。受講環境はいかがでしたか。

澤田:ウェビナーなどでは「ログインができない」「コンテンツが開けない」といった問い合わせを想定し、準備しておくものですが、この講座では目立ったトラブルがなく、全職員にスムーズに受講してもらえました。受講環境には満足しています。今回はDXに特化した講座でしたが、他のテーマに関する研修も必要ですので今後の講座を企画する上でも、大いに参考になりました。

松井:講座のコンテンツでは「業務効率化・デジタル化の具体事例」というものがありました。既存の業務プロセスも含めて、身近なケーススタディは職員にとって大変有用なものになります。AIやコミュニケーションツールをはじめ、デジタル系は特に進展が速い領域です。今後、このようなデジタル研修を企画する上では、時代に即した事例、職員が自分ごととして考えられる内容が望ましいと考えています。適時のアップデートや、さらなるコンテンツの拡充に期待したいですね。

 

デジタルリテラシー講座を基点に知識と意識を向上させていく


デジタルリテラシー講座を実施後、受講者にアンケートを展開されましたが、振り返っての総括をお聞かせください。

菊地:総括すると、今回の講座を「有意義なものだった」と回答した職員は91.3%にのぼりました。DXに関する初めての研修として、私たちも手探りで進めてきましたが、おおむね高評価が得られたことは、素直にうれしく感じています。中には、「部門内の全員が同じ講座を受講することに大きな意味があると思う」という回答もありました。取り組みの一歩目ではありますが、私たちの真意に通ずる感想が得られたことに大きな意義を感じています。

松井:デジタルやDX関連の知識について「積極的に勉強していきたい」と答えた方が92.6%。学習意欲の高さが見られた一方で、「苦手意識がある」との回答が62.3%にのぼりました。「自分の知識が今どのレベルにあるのか把握できた」といった声に代表されるように、まずは部門内のDXに関する知識、意識の現状が共有できた段階です。このデジタルリテラシー講座を基点として、部門内のDX化に向けた取り組みを継続的に進めていかなければなりません。

澤田:「もっとテクニカルな内容を期待していた」「さらに上位の内容を受講してみたい」という声もありました。「基礎知識の底上げ」を主眼に全員参加で行った講座を経て、レベルを徐々に上げていくのか、上級編の講座を別途企画するのか、いろいろな意見が出ています。多くの声を参考に、検討していければと思います。

デジタルリテラシー講座というファーストステップを経て、部内人材のDX化はどのように進めていかれますか。今後の展望をお聞かせください。

澤田:知識やスキルは即効的に学べるものもありますが、デジタルリテラシーの醸成は一朝一夕にできるものではなく、長期的な視点で進めるべきものです。また、デジタルに関する知識は常に更新され、新しいトピックも日々登場しています。知識をアップデートしていく、という点は課題認識の一つとしてとらえています。

松井:私たちはお客さまのウェルビーイングを支えることを旨としていますが、職員自身のウェルビーイングも重要です。そこで重要な観点がワークライフバランスです。職員のワークの充実が働きがいの向上につながり、ライフの充実は快適な生活、心身の健康をもたらします。ペーパーレスやシステム化などのDXは働き方改革にとどまらず、職員のワークとライフを充実させ、「生き方改革」につながるものです。DXを通し、お客さまと職員の満足度の向上を目指して参ります。

菊地:住友生命は、全職員を対象にITパスポートの受験を推奨するなど、全社的にデジタルリテラシー向上を図っています。私たち代理店部門も、DX研修の第2ステップとしてITパスポートの取得を推奨していきます。そこで重要なのが、職員のモチベーションです。何のために知識を身につけていくのか、ITパスポートを取得するのか――それはあくまでお客さまにウェルビーイングを提供し、社会に貢献していくためです。DX化に向けた各種施策は、意識と行動から考えていくことが不可欠です。「何のための研修なのか」という前提を意識しつつ、啓発を進めていければと思います。

導入事例概要


導入目的

  • 業務上、必須となるデジタル知識を学習し、DXを加速したい
  • 社内業務で一般化しているデジタル関連事例の基礎について再確認を促したい
  • 「全員参加」を必須とし、部門内のデジタルリテラシーを底上げしたい

導入した結果

  • 全職員に一斉実施することで、DX知識の底上げができた
  • 部門内のデジタル意識/知識の現状を把握し、次のステップを明確化できた
  • 豊富な活用事例に触れることで、それぞれの業務プロセスの改善に取り組む意識につなげられた

導入サービス

  • デジタルリテラシー講座

デジタルリテラシー講座に決めた理由

  • eラーニングシステムで大人数を一斉に教育できる
  • 学習項目が細かく刻まれており、1コンテンツごとの受講がしやすい
  • 受講対象者をDX人材だけに限定せず、部門に在籍する全ての職員とすることでデジタルリテラシーの向上が期待できる