約100%の受講率を支えるコンテンツの充実とフォロー体制 10年に渡るeラーニングの実装が大きな成果を生んだ

クライアントさまご紹介


リゾートトラスト株式会社

北原 伸之
リスク管理部/品質管理部 部長

山田
リスク管理部 コンプライアンス管理課/リスク管理課 課長

矢崎
リスク管理部 コンプライアンス管理課 主事

リゾートトラスト株式会社は、会員制リゾートホテル事業を中心に、約20万人を超える会員様からの信頼を得て、ホスピタリティ業界で確固たる地位を築いています。さらに、近年ではメディカル事業やシニアライフ事業にも注力し、幅広い事業を展開する企業として成長を続けています。

そこで、同社にとって重要な課題となっているのが、グループ全体のコンプライアンス管理です。リゾートトラストグループには、正規・非正規を含めた多様な雇用形態の従業員が約13,000人以上在籍しており、リスク管理部がコンプライアンスの徹底を推進しています。全従業員に対し、コンプライアンスに関する研修や啓発活動が実施されており、その取り組みを支えるために、NTTデータユニバーシティが提供する「コンプライアンスeラーニング」が活用されています。

リスク管理部でeラーニングコンテンツの実装と展開に携わるメンバーに登場いただき、同社の高い受講率や、それを支えるeラーニングコンテンツとLMSの運用サポート、そしてグループ内での周知体制について語っていただきます。

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(取材2024年7月)

約13,000人のコンプライアンス施策を支える仕組みとは


まず、グループのコンプライアンス戦略についてお聞かせください。

北原:リゾートトラストグループは、お客様の人生に寄り添うエクセレント・ホスピタリティグループとして、コンプライアンスを最重要課題の一つと位置づけています。正社員だけでなく、アルバイトや非正規社員など多様な雇用形態のスタッフがおり、グループ全体で約13,000人の従業員が働いています。多様な従業員に十分に働いてもらうためにも、コンプライアンス施策を戦略的に進める必要があります。

そこで、私たちはNTTデータユニバーシティが提供するコンプライアンスeラーニングを活用しています。2024年度には、同社に8本のコンプライアンス関連のeラーニングコンテンツを制作していただき、さらに私たちリスク管理部でも独自に17本のコンテンツを作成しています。リゾートトラストグループは、ホテル、ゴルフ、メディカルなど多岐にわたる事業を展開しており、それぞれの部門のニーズに応じた教育コンテンツを提供することが求められます。その結果、eラーニングの受講率は97~98%という高水準を維持しており、ほぼ全従業員がコンテンツを受講している点が、当社の強みとなっています。

コンプライアンスeラーニングのプロジェクトは2014年度から取り組まれています。当時を振り返り、導入の背景をお聞かせください。

山田:コンプライアンスeラーニングを導入した2014年度は、私たちにとって大きな転換点となる年でした。それまでの事業本部制から、会員制本部、ホテルレストラン本部、メディカル本部といった形で本部制へと移行し、それぞれの独立性が強化されたのです。そこで、コンプライアンスを管理する専門部署も新設され、グループ全体に横串を通してコンプライアンスを強化する方針が打ち出されました。

そこで着目したのがeラーニングです。ホテル事業だけを見ても、拠点が最北は福島、最南は鹿児島と広がっており、対面の研修や教育には多くのハードルがあります。特に、24時間・365日のシフト勤務が行われるホテル業務では、受講の時間すら調整が難しい状況があります。そこで、どこにいても、どんな時間でもコンテンツを受講できるeラーニングの導入が大きなメリットになったのです。

eラーニングの導入にあたり、選定はどのように進められたのでしょうか?

山田:導入当時の担当者によると、もともとNTTデータと業務で連携しており、その紹介からNTTデータユニバーシティに支援を仰いだという経緯があります。NTTデータグループが提供するラーニングコンテンツには信頼と安心感があり、導入プロセスもスピーディーに進めることができました。

とはいえ、eラーニングの導入は私たちにとって初めての試みです。何から手をつければよいのかも手探りの状態だったため、NTTデータユニバーシティの担当者から「まずは全体設計をコンサルティングする」というファーストステップを提案していただきました。いきなりグループ全体での導入はハードルが高いため、まずは本社社員からトライアルを進めました。この段階的なアプローチにより、グループ全体への展開もスムーズに進められたと感じています。

受講者に刺さるコンテンツをいかにして実装、提供したのか


コンプライアンスeラーニングでは、NTTデータユニバーシティが制作するコンテンツを年に8本、リスク管理部が制作するコンテンツ17本のLMSへの搭載を提供しています。その概要について紹介ください。

矢崎:NTTデータユニバーシティが制作したコンテンツには、「交通安全」「パワハラ」「セクハラ」「情報管理」といった基本的な内容が含まれています。一方、私たちが内製するコンテンツでは、「今年はこんな事案が発生しました」「昨年に起こった事例からの学び」など、具体的な事例を取り入れ身近に感じてもらえるような構成にしています。このように、復習と新しい学びの両方を兼ね備えた教育が実現できており、非常に効果的なアプローチだと感じています。

北原:矢崎ら、制作に携わるスタッフの創意によって、「コンプライアンスの管理について」といった包括的なタイトルにするのではなく、「ハラスメントの防止策」や「お酒にまつわる失敗談」といった、特定のシチュエーションに焦点を当てた内容にする、といった工夫がされています。特に、コロナ禍を経た後の社会における新たな注意点に絞り込んだ内容は、今の時代に合ったものです。会社全体でeラーニングを運用し、課題を的確に捉えたテーマ設定をすることで、教育ツールとしての効果が一層高まり、eラーニングが社内のインフラとして確立できていることを実感しています。

山田:チームの工夫と、NTTデータユニバーシティの示唆によって、受講者にとって飽きのこない、効果的な学習体験が提供できています。当社ではeラーニングを偶数月の1日から開始するよう設定し、通常の業務時間にメールで告知しているのですが、興味深いことに、夜の0時を過ぎた瞬間に学習を始める従業員が一定数いることが分かりました。ホテル業務は24時間365日稼働しているため、シフト制で働く従業員全員のワークスタイルも一様ではありません。これは、柔軟に学べるeラーニングが、当社の多様な従業員にフィットしていることを示していると思います。

10年に渡って展開してきたコンテンツの工夫について、さらに掘り下げてお聞かせください。

山田:登場人物として「太朗さん」と「華子さん」という親しみやすいキャラクターをあえて継続的に登場させています。例えば、「今年もこの季節が来たね」といったセリフで、受講者に「去年もやったよね」と感じてもらうことを意識して、あえて同じキャラクターたちが同じテーマについて話す場面を設けています。

この演出には、「同様の内容であっても、繰り返し学ぶことに意義がある」というメッセージを伝えるねらいがあります。親しみやすいキャラクターを使いながら、少しずつ新しい視点や気づきを加えているのです。このような工夫を凝らすことで、受講者に飽きさせず、継続的な学習の意義を強調しています。

矢崎:セクハラに関するコンテンツにおいて、受講者から「内容が『えぐい』と感じた」というフィードバックを受けたことがあります。もちろん、生々しい描写を含んだわけではありません。私たちがeラーニングを通して意図したのは、被害者の感情を疑似体験してもらうことです。そこで、セクハラ被害をストーリー仕立てで表現したのですが、その内容が受講者に強く響いたようです。セクハラがどれほど嫌悪感を伴うものか、リアルに伝えることで、「ハラスメントは絶対に許されない」という強い意識につなげられたと感じます。コンテンツはNTTデータユニバーシティの担当者と検討し、より刺さる形でアレンジを考えてきました。この点でも大きな示唆をいただいており、内容が受講者にしっかり響くものにできています。

コンプライアンスeラーニングを基点に知識と意識を向上させていく


eラーニングの実施結果を参照すると、2023年度は「判定テストまで受講し、既定点を達成した人」を示す修了率が一般向けで98.22%、管理職向けで98.6%にのぼっています。これほどの高い修了率はどのように達成できているのでしょうか。

北原:高い受講率と修了率を支えている要因は、コンテンツの充実とフォローアップ体制の構築にあります。山田や矢崎が説明したように、受講者の興味を引く内容を提供することは非常に重要です。しかし、それに加えてもう一つ欠かせないのが、受講管理体制の強化です。具体的には、誰が受講を完了したのか、どの部署の進捗状況がどうなっているのかを追跡し、必要に応じて所属部門や管理者にリマインドを送るなど、コミュニケーションを徹底してきました。

10年の中には受講率が伸び悩んだ時期もありました。その際は所属部門に「何人が受講を完了しているか」「あと何人が未受講か」といった情報を頻繁に提供し、全員が受講を完了するよう積極的に働きかけてきました。このように徹底した受講者管理が、10年にわたる取り組みの成果として、現在の高い受講率に結びついていると考えています。

矢崎:休職や異動といった人事の変動もあり、受講者を巡る状況は刻々と変化します。そのため、受講者リストのきめ細かな管理が不可欠です。私たちは各部門、組織にコンプライアンス推進者を置き、個別の管理者IDを渡し、各組織の受講状況を把握・管理してもらっています。例えば、ホテル部門では業務支配人やクオリティ支配人がこの役割を担い、自分の施設で誰が受講しているか、未受講のままの人がいるかをリアルタイムで確認できるようにしているのです。NTTデータユニバーシティには、管理者に対するIDの発行や受講者リストの作成といった具体的なニーズにも柔軟に対応していただきました。サポートに感謝しています。

今後もeラーニングを活用されていく中で、コンテンツの実装やLMS支援にはどのような可能性があるでしょうか。今後の展望をお聞かせください。

矢崎:eラーニングを通じて学んだ知識が、単なる知識の習得に留まらず、日常生活や仕事に生かされ、実際に行動に繋がるようになれば、それは本当に意義のあることです。私自身も、そうした形で学びが生活や仕事に活かされることを目指しています。そのために、常に追求し続け、より良い学びの環境を提供できるよう努めていきたいと考えています。

山田:eラーニング自体は、すでに広く浸透していると感じています。動画の採用など、コンテンツに変化を持たせる工夫ももちろん必要ですが、受講環境によっては音声が聞けないといった制約があるため、最大限の学習効果を引き出すための工夫も必要です。

例えば、学習コンテンツの作成過程でAIを活用し、受講者の学習パターンを分析することで、より効果的な学習体験を提供できる可能性もあるでしょう。NTTデータユニバーシティの提案を受けつつ、多様な従業員に合った届け方を考え、個々の学習スタイルに合わせたアプローチを模索していければと思います。

北原:人材の多様化が進む中で、私たちが直面している最大の課題の一つは、いかにそれぞれの個性や背景に応じた教育や指導を行い、成果を上げるかということです。最近では、外国人スタッフの採用も増え、日本語が十分に理解できない方にも対応する必要があります。また、雇用形態や個々の考え方も多様化しており、昔のように全員を一律に指導する方法では、すべての人に効果的な教育を提供することが難しくなっています。

山田がAIの可能性に言及しましたが、個々の学習パターンを分析し、その人に合ったコンテンツを提案することも考えられるでしょう。どの時間帯に学習しているのか、どのページをよく見るかなどのデータを基に、一人ひとりに適した学習体験を提供することで、内容がより深く浸透し、学習効果を高めることもできるはずです。eラーニングを通じて効果的な教育を考え、実装を目指していきます。

導入事例概要


導入目的

  • リスク管理部の新設に伴い、グループ事業に横串を通した教育を考えたい
  • グループ1万3000人以上の従業員に統一したコンプライアンス教育を提供したい
  • 既存の座学コンテンツではなく、実効性を持った教育プログラムを実装したい

導入した結果

  • グループ従業員にコンプライアンス教育を実施し、リテラシーが向上できた
  • 内製コンテンツの展開により、グループ従業員に刺さる教育を提供できた
  • きめ細かなフォローアップ体制により、高いコンプライアンス意識を醸成できた

導入サービス

  • コンプライアンスeラーニング

コンプライアンスeラーニングに決めた理由

  • 場所や受講時間を問わずに教育コンテンツを展開できる
  • 既存コンテンツとコンテンツの内製LMS支援が充実している
  • 受講者に刺さるコンテンツの実装に知見を持っている