2024年度 人財育成フォーラム「個人と組織が成長し続ける自律的キャリアの勘所」

2024年12月13日(金)、NTTデータユニバーシティは、例年に続き人財育成フォーラムを開催いたしました。
今年度は、キャリア自律の最新知見を広く伝えている法政大学教授の田中研之輔氏を迎え、キャリア開発施策の推進における課題解決のヒントや最新事例について講演を行っていただきました。
当日は、駒場研修センターでの集合形式およびオンライン配信との二元開催を行い、100名様近くの人材育成担当者の方々にご参加いただき、大変盛況に終えることができました。

当日のフォーラムの様子をご報告します。

【基調講演】
個人と組織が成長し続ける自律的キャリアの勘所 -最先端のプロティアンキャリア知見より-

登壇者:
法政大学キャリアデザイン学部 教授
一般社団法人プロティアン・キャリア協会 代表理事
株式会社キャリアナレッジ 代表取締役社長
田中 研之輔氏

<講演内容>

  • 2025年度における人的資本経営の重点戦略ポイントは、「開示」と「開発」。
    社員のキャリア自律は、社員だけでなく、時価総額や企業の生産性など企業そのものの存続にかかわる重要事項であることを認識しなければならない。その上で、エンゲージメントサーベイなどの客観的なデータ(数値)を集め他社と比較することで、どうしたら自社の数値がより良くなる取り組みができるかを日常的に考えていく必要がある。
  • キャリア自律とは、社員自身が好き勝手にキャリアを描くことではなく、個人と組織の関係性を作り直し、より良いものにしていくことである。キャリア自律が浸透すると、社員の生産性やワークエンゲージメント、チームへの貢献度が向上するといったアンケート結果も出ている。
  • 経済産業省からは「働き方が大きく変化しており、キャリアは会社から与えられるものではなく、一人ひとりが選択する時代になった」といったコメントやリスキリングを通じたキャリアアップ支援事業なども出てきており、政府としてもキャリア自律の重要性を提唱している。
  • 従来型のキャリアとプロティアン・キャリアの違いは、オーナーが変わること。組織にキャリアを預けるのではなく、自身がオーナーとなり、活躍場所を会社として自分の意思でキャリアを形成していくことが重要。
  • 人事育成担当はキャリア開発で発生しやすい3つの問題を解決するドクターになってもらいたい。特に、ミドル・シニアキャリア形成期の社員に対しては、自身のキャリアを再考するための問いかけを行うことで、キャリアに向き合ってもらうことが重要になる。
  • キャリア形成には、「主体的に業務に向き合う」ことが大切。会社では、言われてやらされている/ルーティンでやっていることが多く、普段の生活で趣味に没頭するように同じような状態で働けていない。社員の生産性を上げるには、どうすれば一人でも多くの社員が自分事化してくれるのかを考える必要がある。

【事例紹介 NTTデータ金融分野における エンゲージメント推進活動および キャリア関連の取組のご紹介】

登壇者:
NTTデータ 金融戦略本部 金融事業推進部 人事総務担当部長/エンゲージメント推進室長
髭 直樹氏

<講演内容>

  • キャリアは「なりたい自分」だけを考えるのではなく、自身の仕事の意味や価値を理解・認識してもらうことが大事。それができていないと、キャリア自律を意識した時に、今の状況が不遇だと感じ人材が流出してしまう。
  • キャリア面談の際には自身の内面やプライベートの事情まで開示する必要もあるため、「上司に話してもよい」と思える関係性を構築しておくことが必要。
  • 社員のエンゲージメント向上のためには、良好な人間関係に加え、「やりがい」「風土・文化の醸成」「働きやすい環境」「自己成長」「ロイヤルティ」が必要だと考え、この6つの軸をベースにエンゲージメント調査を行ったところ、以下の3つが社員のキャリア自律を高める上で必要となることが分かった。
    -組織風土の醸成(何でも話せる、協力体制の整備等)
    -上司の関与を深めること
    -個人が当事者意識を感じられる成功体験を組み合わせること

<ご参加者様の声>

  • 人材育成に関する新しい視点やキャリア自律に関するヒントをもらうことができました。
  • 色々なパートそれぞれで、気になる内容や新たな気づきとなる内容が含まれており、全体的に有意義でした。実際に一歩を踏み出すためにどうするか、外部の知恵や助力をいただくことも考えていきたいと思いました。
  • プロティアン・キャリアの言葉の定義や意味についてはある程度していたが今回拝聴することによって現実的にどの様な事について自己、企業それぞれが認識し、取り組むべき事なのかイメージすることができた。


田中氏の講演では、キャリア自律の重要性が深く論じられました。
特に、エンゲージメントサーベイなどのデータを活用して社内外に透明性を持たせることで、他社との比較や自社の成長の機会を創出する視点は非常に新鮮でした。また、社員の成長に応じて「データに基づいたキャリア開発」が今後の重要な課題であること、そして複数の視点からアプローチが求められることは、これからのNTTデータグループの取り組みに大きなヒントを与えてくれる内容でした。
NTTデータの金融部門の事例紹介も加わり、社内でキャリア開発進めていく上で、この先行っていくべきことがより具体的にイメージできたという声もいただき、今回のフォーラムとしての開催に手ごたえを感じた内容でした。


本セミナーの講演資料はこちらからダウンロードいただけます。

2024年度人財育成フォーラム講演資料(法政大学_田中研之輔氏)

キャリア&エンゲージメント関連サービスご紹介資料(NTTデータユニバーシティ)