NTT DATAのグル-プ会社における「キャリア自律」の実態に関する調査

はじめに

2023年、NTTデータのグループ会社を対象にキャリア自律に関する実態調査を行いました。
当社では、キャリア自律している人材を「ありたい姿に向かって自ら選択し、試行錯誤しながら実現に向かって前進している人材」と定義しており、NTTデータのグループ会社における任意回答者335名の回答をもとに、この実態を確認することを試みました。
本ページでは、上記の調査結果のうち、キャリア自律度を高めるためのご参考になる情報を抽出しています。


※サンプル数が少なく、かつ当社のラーニングプラットフォーム「OliveOne」に登録されている方に限定されていることにご留意ください。

基盤となる考え方

キャリア自律の段階を【レディネスフェーズ】と【実行フェーズ】に分け、その中で取るステップを「理解する」「やる気になる」「思い描く」「行動に移す」「成果を上げる」の5ステップに分類しています。

調査概要・回答者属性

調査概要

回答者属性

44社、335名の回答者の属性は以下の通りです。

調査結果の概要

本調査では、キャリア自律に関する様々な結果が得られていますが、ここではキャリア自律度を軸に仕事への取り組み方、ありたい姿の実現に向けた行動、組織や仕事に対するエンゲージメントについての結果と考察をご紹介します。 

仕事に取り組む上での特徴の違い

キャリア自律に影響する要因として「社員の考え方(ワークキャリアに影響する社員個人の考え方)」を調査したところ、「仕事に取り組む上での特徴」に差が見られました。当社では先行研究を踏まえ、特に重要な仕事に対する考え方として「自身の仕事上の得意分野の把握」「自分なりのポリシーで仕事に取り組む」「新しい環境・状況へ早く適応する」の3つを定義しています。キャリア自律度合いが高い群の方がいずれの項目でも当てはまると回答した人の割合が多いため、キャリア自律を通じて成果を上げるためにはこれらの考え方を持つことが重要と言えます。

ありたい姿の実現に向けた行動の違い

ありたい姿の実現に向けて実際に行っている行動をテキストマイニングしたところ、 キャリア自律度合いが高い群では、現在の業務や自身の能力開発に関連するワードが頻出し、キャリア自律度合いが低い群では副業や転職といったいまの仕事以外に目を向けるような大きな変化に関わるワードが多く出されました。キャリア自律度合いが高いほど、キャリアビジョンに向けて自業務の中で自身の成長を加速させる行動をとっていると言えます。「キャリア自律=仕事を変える」と安易に考えがちですが、目の前の仕事に取り組む意識を変え、日常の中で成長に向けた行動をとることこそが重要です。 

組織や仕事に対するエンゲージメントの違い

「キャリア自律を促すと、社員の離職が増えるのではないか」という懸念をお客様からお聞きすることが多いですが、キャリア自律度とエンゲージメントの高さに相関があることは、世の中の調査結果からも言われています。本調査結果においても、キャリア自律高群と低群でエンゲージメントの得点分布に大きな差が見られました。
組織の方向性と自身のキャリアビジョンの重なりを見つけ、ビジョン実現に向けて日々の業務を自分なりに工夫しながら取り組むことで、組織に長く貢献しながら成長する「キャリア自律人材」となることが理想的だと言えます。

特徴を捉えた施策を講じることでキャリア自律人材になる

本調査の結果より、NTTデータの国内グループ会社で勤務する社員のキャリア自律状況や、キャリア自律度合いによりいくつかの特徴が見られることが明らかになってきました。
このことから、社員のキャリア自律状況に応じた支援施策を講じることで、キャリア自律人材を実現できる可能性が高まります。社内にキャリア自律人材が増えれば、組織や仕事に対するエンゲージメントも高まり、離職防止等の効果が期待されます。

キャリア自律支援施策を検討する際には、まずは状況の可視化が重要となります。今回は一部の結果のみをお伝えしましたが、当社のキャリア自律実態調査では、社員本人のキャリア自律状況だけでなく、組織のキャリア開発支援状況の可視化も可能です。